花粉症
花粉症について
花粉症は、体内に抗原(アレルギー物質)である花粉が入り、免疫系が反応することで起こるアレルギー症状です。
日本人の約2人に1人が花粉症と言われており、主な症状としては、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや涙、喉や皮膚のかゆみなどが挙げられます。
花粉症には季節性があり、原因となる花粉は地域や時期によって異なります。
たとえば、日本では春にスギやヒノキの花粉が多く飛散し、初夏にはイネ科植物、秋にはブタクサやヨモギが原因となることがあります。これらの花粉が飛ぶ時期には、症状が特に強く現れることが多いです。
花粉症の症状
- 鼻の症状(アレルギー性鼻炎)
- 鼻水
- くしゃみ
- 鼻づまり
- 目の症状(アレルギー性結膜炎)
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 涙目
- その他の症状
- 肌のかゆみ、湿疹、赤み
- 喉のかゆみ
- 頭痛や倦怠感
検査方法
- IgE抗体検査
血液中に含まれる「IgE抗体」という物質を調べる血液検査です。この検査は、アレルギーの原因を特定するために行われます。
アレルギーの原因となるアレルゲン(花粉やダニなど)は、体内に侵入するとIgE抗体と結びつき、その結果、鼻水やくしゃみなどのアレルギー反応が引き起こされます。
血液中のIgE抗体の種類と量を調べることで、どのアレルゲンに対して反応しやすいかを特定することができます。
また、アレルギー反応を引き起こしやすい39種類のアレルゲンを一度に調べることができる血液検査もあります。
治療法
- 抗ヒスタミン薬
ヒスタミンは、体がアレルゲン(花粉など)を異物として認識した際に免疫細胞から放出される物質で、鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが体内の「H1受容体」という部分に結合するのを妨ぐことにより、ヒスタミンの働きを抑制し、アレルギー反応を緩和します。
抗ヒスタミン薬には、第1世代と第2世代があり、第2世代は副作用が軽減され日常生活への影響が少ないため、広く使用されています。
抗ヒスタミン薬は、症状を抑えるだけでなく、花粉が飛散する時期の少し前から服用することで、予防効果も期待できます。
- ステロイド点鼻、点眼薬
初期治療の重要性
花粉症は、花粉が原因で体内でヒスタミンという物質が放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が引き起こされます。
初期治療において重要なのが、「インバースアゴニスト」という作用を持つ抗ヒスタミン薬の使用です。
ヒスタミンH1受容体には、活性型と不活性型の2種類があり、これらは常にバランスを保っています。従来、抗ヒスタミン薬は活性型H1受容体でヒスタミンの働きを抑えることで効果を発揮すると考えられてきました。しかし、最近の研究で、抗ヒスタミン薬には活性型だけでなく、不活性型H1受容体を安定化させる作用もあることが明らかになりました。
ヒスタミンが体内で放出されると、活性型H1受容体が反応してアレルギー症状が起こります。しかし、不活性型H1受容体が増えると、ヒスタミンの影響を受けにくくなり、花粉症などの症状を抑えられます。特に、インバースアゴニスト作用がある抗ヒスタミン薬を早い段階で使うと、花粉が飛散してヒスタミンがたくさん放出されても、不活性型H1受容体が多いため、ヒスタミンが結合しても症状が出にくくなります。
花粉飛散期の2週間~1ヶ月ほど前にインバースアゴニスト作用のある抗ヒスタミン薬を使い始めると、不活性型H1受容体が増えた状態を維持できます。
そのため、花粉の飛散量が増えてヒスタミンが大量に放出されたとしても、アレルギー反応が起こりにくくなり、症状を効果的に抑えられるのです。
ボトックス点鼻
当院では、ボトックス点鼻による花粉症治療も行っています。
ボツリヌストキシン製剤には神経伝達物質(アセチルコリン)をブロックする作用があり、表情じわの改善や汗の分泌抑制などに用いられています。
ボトックス点鼻を行うことで、鼻粘膜のアセチルコリンの放出を抑制し、鼻粘膜の神経伝達を阻害することで、アレルギー反応によるくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを軽減することができます。
施術後すぐに効果を実感でき、内服薬のような眠気や倦怠感などの副作用はほとんどありません。
施術から約1~3週間ほど効果が持続するため、1シーズンに2~3回の治療で花粉症の症状を抑えることが可能です。
- 施術方法
ベットに横になっていただき、鼻腔内にボトックスを点鼻します。
滴下終了後は鼻の粘膜にボトックスを浸透させるため、約10分ほど横になっていただきます。その際にボトックスが喉に流れて飲み込んでも特に悪影響はありません。