接触皮膚炎(かぶれ)

  1. 概要
  2. 分類
  3. 診断と検査
  4. 治療

1. 概要

皮膚が接触する外来性の刺激物質や抗原によって発症する湿疹性の炎症反応です。急性期及び慢性期に分かれます。急性期では、丘疹・小水泡などの限局性紅斑が主体で、慢性期になると持続性の接触に引き続き、皮膚の肥厚や苔癬化が起こります。これらの皮膚の変化は外界からの異物に対する生体の防御反応によるものです。

2. 分類

 大きく以下の4つに分類されます。

  • 刺激性接触皮膚炎

 刺激物質が皮膚バリアを侵入し、炎症が起きます。

  • アレルギー性接触皮膚炎

 少しのアレルゲンが触れることで、炎症が起きます。

  • 光接触皮膚炎

 光に対するアレルギーが原因で、炎症が起きます。

  • 接触蕁麻疹

何度も接触皮膚炎を繰り返すことで、限局性でなく、広い範囲で湿疹が起こります。

3. 診断と検査

一般的に、急性の経過を辿ることが多いです。特に問診で、接触源に関する情報があれば、強く疑います。痒みを伴う紅斑を認め、丘疹、小水疱を認めることもあります。慢性期ではより広範囲に皮疹を認めます。いずれにせよ、問診が重要で、日常的に接触している物質を聞き出すことが必要です。

鑑別診断として、尋常性乾癬、白癬、脂漏性皮膚炎、汗疱などが挙げられます。鑑別のために、真菌検査、ダーモスコピー、皮膚生検などが行われることがあります。

問診や部位から接触皮膚炎が疑われる場合、パッチテストを施行することがあります。標準アレルゲンを一度に調べられるパッチテストパネル試験があります。パッチテストは、上背部や上腕で行います。パッチテストは通常48時間接触させ、パッチテストユニット除去後、48時間後、72時間後、1週間後に結果を判定します。妊娠中の方には、パッチテストは推奨されません。

原因として多いものは、毛髪染色剤、食品、植物(漆、サクラソウ、銀杏など)、外用薬、湿布薬などです。日用品、化粧品、金属なども候補に含まれます。特に外用薬や点眼薬が原因になっていることもあり、注意が必要です。職業に関連する原因も多いです。

それ以外の部位別では、顔では、眼鏡、口ではリップクリームやマンゴー、耳ではピアス、頸部ではネックレス、手では洗剤や手袋や時計、足では靴下、抗真菌薬、飲部ではコンドームや避妊薬品なども候補になります。

特に口周りの食品アレルギーで注意すべきものは、パパイヤ、もも、マンゴー、蕎麦、こんにゃく、ナッツ類などです。アレルギー性接触皮膚炎の原因として、化粧品・薬用化粧品が54%といちばん多く、医薬品25%、ジュエリー・アクセサリー9%と報告されています。化粧品は低刺激性のものを使うようにしましょう。衣服の物理的刺激によって皮膚炎が出る場合もあり、天然素材科合成繊維かよらず、起こり得ます。

4. 治療

治療の基本は原因として可能性が高いものを回避し、ステロイドの外用薬、痒みが強い場合には抗ヒスタミン薬を使います。通常は1−2週間で軽快します。

処方例:頭(アンテベートローション、リンデロンローション)、顔(ロコイド軟膏)、体(リンデロン軟膏、マイザー軟膏、デルモベート軟膏)、抗ヒスタミン薬(ルパフィン、ビラノア)、重症ではプレドニンを1日20mgなどから使用します。

また保湿薬は皮膚のバリア機能を高め、接触皮膚炎を防ぐのにも有効です。

軽快しない場合は、原因特定の検査、特定出来たら原因物質と交差性のある物質の排除も必要です。交差性とは、特定の物質にアレルギーをもつ人がそれとよく似た構造を持つ物質でもアレルギー反応を起こすことを言います。よく知られているのは、天然ゴム(ラテックス)に対する交差反応性です。ラテックス製品でアレルギー症状を発症する人の半数ほどに、バナナやアボカド、キウイなどの果物でもアレルギーを持つことが知られています。

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