オゼンピック

オゼンピックについて

オゼンピック(Ozempic)は、デンマークの製薬会社ノボノルディスク社が開発したGLP-1受容体作動薬というタイプの薬剤で、主に2型糖尿病の治療薬として用いられています。日本では2021年に承認されました。週1回の皮下注射で使用するのが特徴です。 

オゼンピックの特徴

オゼンピックは、有効成分セマグルチド(semaglutide)を含むGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬であり、主に血糖コントロールと体重減少を目的に使用されます。

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)とは

小腸から分泌されるホルモンで、血糖コントロールにおいて重要な役割を担っています。食事を摂ると腸の内壁から分泌され、血流に乗って膵臓・脳・胃腸などさまざまな臓器に作用します。

特に膵臓では、インスリンの分泌を促進することで、食後の血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。さらに、脳の満腹中枢を刺激することで食欲を自然に抑え、摂取カロリーの過剰を防ぐ効果もあります。

GLP-1の主な作用

  • 膵臓のβ細胞に働きかけてインスリンの分泌を促進

食後の血糖上昇に対して、血糖を下げるホルモン「インスリン」を分泌させます。

  • α細胞からのグルカゴン分泌を抑制

グルカゴンは血糖を上げるホルモンなので、それを抑えることで血糖値を下げる助けになります。

血糖コントロールを改善することでインスリンの効きがよくなり、脂肪がたまりにくい体質を目指せます。

  • 胃の排出をゆっくりにする

食べ物が胃から腸へ送られるスピードを遅らせ、満腹感を長時間持続させます。

この作用により、満腹時間が延びて食べ過ぎを防ぎます。

  • 脳の満腹中枢に働きかけて食欲を抑制

GLP-1は脳にも作用し、満腹感を感じさせる効果があります。そのため、間食やドカ食いを防止し、自然に食事量を減らすことができます。

投与方法と使用経過

オゼンピックは週に1回、『同じ曜日』に皮下注射で投与します。

注射部位は腹部や太もも、上腕などが推奨されており、患者自身で自己注射することも可能です。 

毎回同じ場所に打ち続けると皮膚が硬くなったり、しこりができたりする恐れがあるため、注射部位はローテーションすることが大切です。

もし打ち忘れてしまった場合は

オゼンピックは週1回の注射が基本です。もし打ち忘れた場合は、次の投与予定日までの時間によって対応が異なります。 

・次の投与予定日まで2日(48時間)以上の場合

気づいた時点で直ちに1回分を投与し、その後はあらかじめ決められた曜日に投与

・次の投与予定日まで2日(48時間)未満の場合

忘れた分は投与せず、次の投与予定日に1回分を投与

※打ち忘れたからといって、2回分をまとめて打つ、または倍量を投与することは絶対に避けてください。副作用のリスクが高まる恐れがあります。

【開始〜1週目】 注射開始

週1回、0.25mgからスタートします

  • まだ薬の効果は緩やかですが、「食欲が少し減った」と感じる人もいます
  • 体重に大きな変化はないことがほとんどです
【2〜4週目】
  • 少しずつ満腹感が長続きするようになり、間食や食べ過ぎが減ってきます
  • この時期から少しずつ体重減少が始まる方もいます
【5〜8週目】
  • 徐々に0.5mgや1.0mgへと増量される場合があります(医師の指示による)
  • 食事量のコントロールがしやすくなり、体重が本格的に減り始めるケースも多いです
【3ヶ月以降】
  • 多くの方が3ヶ月以降でしっかりとした減量効果を実感します
  • 血糖値や脂質の改善、ウエストの引き締まりなども報告されています
  • 食生活の改善や運動習慣を併用している方は、リバウンドしにくい体質づくりが可能です

副作用とリスク

  • 吐き気、胃もたれ:食欲が抑制される一方で、消化が遅れることにより発生します。特に初期投与や増量時に多くみられます。
  • 便秘や下痢:胃腸の動きが緩やかになるため起こりやすい副作用です。水分摂取の不足も一因で、一部の人では逆に腸が刺激されて下痢症状がみられることもあります。使用初期に見られる場合が多いですが、継続中に徐々に起こることもあります。
  • 倦怠感や疲れやすさ:食事量が減ることで一時的にエネルギー不足になる場合があります。使用初期〜1ヶ月程度に起こりやすい副作用です。
  • 頭痛:食事量の減少や低血糖気味になることで誘発されることがあり、断続的に起こる可能性あります。

まれに起こる重篤な副作用

以下は頻度は低いものの、注意が必要な副作用です。異常を感じた場合は速やかに受診してください。

  • 急性膵炎:強い腹痛や背中への痛み、吐き気・嘔吐がある場合は、速やかに受診してください
  • 胆石症・胆のう炎 :急激な体重減少や脂質代謝の変化が一因とされ、右上腹部の痛みや発熱には注意が必要です

使用に注意が必要な方

  • 胃腸に持病がある方 
  • 過去に膵炎を起こしたことがある方 
  • 妊娠中・授乳中・妊娠希望の方 
  • 重度の肝機能・腎機能障害がある方 
  • 多量の飲酒習慣がある方 
  • 極端なやせ型の方(BMI 18.5未満)

使用済み針の廃棄方法

キャップを閉めて中身が空であることを確認し、本体は一部にガラスが使用されているため不燃ごみへ、針は処方された医療機関もしくは「使用済み注射針回収薬局」へ持参して破棄してください。