オムツかぶれ(おむつ皮膚炎)

  1. 概要
  2. 症状
  3. 治療法
  4. 注意事項

1. 概要

おむつかぶれ(おむつ皮膚炎)は、乳児の肌トラブルの代表と言える皮膚の接触皮膚炎の1つです。おむつかぶれは通常、乳児に見られる肛門や外陰部の周辺、おむつカバーのふちが当たる太ももの付け根、下腹部などに赤い発疹が現れます。そのため、乳児だけでなくおむつを使用している老人や被介護者の人にも見られる皮膚炎です。

2. 症状

おむつかぶれの症状は、おむつを長時間はいていることで、汗や蒸れ、尿中のアンモニアや便そのもの、あるいはそれらが肌に付着して汚れているおむつとの接触によって赤い発疹やただれ、汗疹、痒みが生じます。尿は、腎臓からろ過された体内の老廃物など肌の刺激になる成分が含まれます。排泄されて時間が経つと尿の水分によって皮膚がふやけた状態になり傷つきやすいです。尿に含まれているアンモニアは時間が経つとアルカリ性に変化します。これによって皮膚のpH値も上昇していきます。その結果、細菌が繁殖しやすくなります。また便についても腐敗物質や腸内細菌など刺激になるものが多いです。特に下痢性の便の排泄物は刺激性が高く、おむつの中で放置されてしまうとおむつかぶれが起こりやすくなります。

また、頻回におしり周辺を拭くことで、炎症が起こり、かぶれに症状になることがあります。拭き方に注意が必要になります。

おむつの中がムレている状態になっていると、カビが繁殖しやすいです。おむつかぶれが治りにくい場合には、カビによる皮膚炎を起こしている可能性もあります。

3. 治療法

保湿剤

おむつかぶれを治療する際には、皮膚用の保湿剤と軟膏を使うことが一般的です。白色ワセリンや亜鉛華軟膏は、皮膚を保湿するだけでなく、おむつが触れて擦れるのを防ぐ役割も持ちます。また、皮膚の炎症を和らげるために亜鉛華軟膏に加えて、弱いステロイド抗炎症薬を用いて治療を行うことがあります。

おむつ内を清潔に保つため、おむつを交換する頻度を増やし、交換時もゴシゴシ擦らないことが大事になります。おむつかぶれが軽度の場合は、ぬれた柔らかいタオルで患部をやさしく拭いて清潔にしてあげましょう。おしりを洗う際は、シャワーや座浴などで汚れを洗い流し、やわらかいガーゼやタオルで軽く押さえるようにして水分を吸い取ることをオススメします。症状が軽ければ、これだけで症状は改善していきます。おしりを洗った後は、ベビークリーム、ベビーローション、白色ワセリン、亜鉛華軟膏などを用いるようにしましょう。

抗真菌薬

おむつかぶれが、重症化しているとカビが原因のカンジダ皮膚炎を合併します。カンジダの治療には抗真菌薬の外用薬を塗ることで改善できます。

4. 注意事項

  • おむつがムレにくい環境づくり

おむつがムレにくい環境を作るためには、おむつ選びにも注目してみましょう。吸収性・吸湿性のゲルを含んだおむつを選ぶことで、おむつ内に水分が残らず肌に触れる機会を減らし、ムレにくくします。逆に、合成樹脂シートを用いたおむつやおむつカバーは、内側に湿気をこもらせやすいので、おむつかぶれが起きやすい場合には使用を控えた方が良いでしょう。

  • おむつのサイズが合っていない

おむつのサイズが合っていないことで、おむつかぶれを起こしている可能性があります。特に、サイズが小さいおむつを使っていると、お腹周りと足回りが締め付けられてしまって、動いていると皮膚が強く擦れやすくなります。これでは、乳児の柔らかい皮膚に細かい傷がついてしまいやすくなります。

一般皮膚科

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