ミラドライ

ミラドライとは?

ミラドライでは、5.8GHzのマイクロウエーブの熱エネルギーによって、皮膚の下にあるエクリン汗腺とアポクリン汗腺を破壊します。それによって、汗の発生を抑え、汗からのニオイを抑える効果を発揮します。ミラドライによる治療は2018年6月4日に厚生労働省より正式に承認された、Miramar Labs Inc.(米国)製「miraDry(ミラドライ)®システム」(医療機器承認番号:23000BZX00161000)を用いて行われます。ミラドライの効果と安全性はFDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる政府機関)で認められており、腋窩多汗症、腋臭症、減毛の適応で承認を取得しています。(日本国内では腋窩多汗症のみ、薬事承認を取得しています。)
ミラドライは2009年ごろからアメリカで行われ、今では世界40か国以上で、累計で20万症例以上が行われています。

当院では、多汗症・腋臭症治療の経験豊富な形成外科専門医が施術を行い、安全で合併症が少なく、治療効果の高い方法で施術しています。

ミラドライの対象となるのは

  • ワキ汗が多い、もしくはワキの匂いが気になる
  • ワキ汗、ワキガ治療で傷跡を作りたくない
  • ダウンタイムが短く、合併症が少ない方がいい

原発性腋窩多汗症(ワキ汗)は、日本国内で5.8%(531.9万人)の患者様がいると推測されています。日常生活に重度の支障を感じながらも、多くの方が多汗症に対して「市販品の使用」や「何もしない」という状況であり、医療機関にて受診・治療を受ける割合は、きわめて低いのが実情です。ミラドライは承認されたのが、2018年と比較的新しい方法ですが、治療効果や安全性の面で非常に効果が高く、重度のワキ汗治療のスタンダードと言っても良い方法になっています。

汗腺の構造

汗の量に影響を与えるのは主にエクリン汗腺であり、特に手のひらや足の裏、額、ワキなどに集中しています。一方、ニオイに関与するのはアポクリン汗腺であり、ワキや陰部、乳首周辺などに位置しています。

ワキの臭いのメカニズム

アポクリン汗腺からの分泌は、脂肪酸やタンパク質、アンモニアなどを含む汗の成分です。この分泌物が皮膚表面の微生物によって分解される際に、「3-メチル-2-へキセノイン酸」という成分が生成され、それが強いニオイの原因となります。

アポクリン汗腺は耳の中、ワキ、乳輪、陰部などに分布しています。そして、耳の中にもこの汗腺が存在するため、耳垢が湿っている人の約8割がワキガであると言われています。日本人のワキガの比率は10人に1人程度と考えられています。肉食や高カロリーの食事が多い人は、脂肪酸が多く分泌され、ワキガになりやすいと言えます。

ミラドライの仕組み

ミラドライは、マイクロ波と呼ばれる電磁波を皮膚の表面から照射することで、汗や臭いの元である汗腺を破壊する治療です。電子レンジにも使用されているマイクロ波には、水分子に選択的に吸収され熱を発生させる性質があります。皮膚にマイクロ波を照射すると、細胞内の水分子が振動し、熱が発生します。皮下組織でマイクロ波が反射し、汗腺が多く分布する真皮深層~皮下組織浅層が最も加熱されます。

ワキガ・多汗症の原因である汗腺は、皮膚直下に存在しています。この汗腺が集中する真皮深層から皮下組織浅層をマイクロ波で加熱することで、汗腺(エクリン腺・アポクリン腺)を凝固・壊死させていきます。

次に、照射されたマイクロ波は、脂肪層や局所麻酔の層で反射され、再び皮膚の表面の方に向かい、皮膚直下の汗腺へと再びエネルギーが向かいます。このように両方向から汗腺にエネルギーが当たることで、より効果的に汗腺の破壊ができる、という仕組みになっております。

ミラドライの照射中は、搭載されている冷却システムが作動し肌表面を熱から保護します。
表皮から真皮にかけての浅い層を冷却することで熱損傷を防ぎ、火傷や合併症・色素沈着のリスクを抑えます。
熱の影響は汗腺がある層に集中し、脂肪層より深部へのダメージはありません。

ミラドライの効果

一度の施術で、70~80%程度の汗腺が破壊され、汗や臭いが20〜30%程度にまで減少するとされています。

治療の実際

ミラドライでの施術では、剪除法と同様に、仰臥位で腕を上げていただき、腋窩部にデザインを施し照射範囲を決めていきます。

照射範囲の周囲に局所麻酔を注射していきます。外用の麻酔剤による前処置も行う場合があります。

麻酔の効果が出てきたのを確認してから照射を開始していきます。専用の器具が皮膚を吸引しながらエクリン腺とアポクリン腺の層にマイクロ波を照射していきます。同時に、表層の皮膚はクーリングをすることができるので、肌表面へのダメージを防ぎながら汗腺のみを破壊します。

手術と異なり、施術後に腕やわきの固定を必要としないため、日常生活へは早く復帰することができます。ただ、腕を大きく動かすスポーツなどは、しばらくは控えてもらいます。ミラドライの治療の合併症としては、照射部位の疼痛、腫脹、内出血、わきのツッパリ感や感覚鈍麻、腕のむくみ、色素沈着、腕や指への神経障害(痺れ)などが挙げられますが、多くは経過とともに改善していきます。

こうしたマイクロ波を用いた治療法でも匂いがあまり減らないことがあります。経過をみて、追加治療も検討します。

ミラドライ施術動画

ミラドライ治療経過写真

初めの1週間は赤みや腫脹が出ますが、その後はほとんど目立たなくなります。

ミラドライとその他治療の比較

ミラドライは、外科手術よりも侵襲が少なく受けやすい治療になります。また、ボトックス注射よりも、コストや効果の面で優れています。

ミラドライの1パス照射と2パス照射の違い

1パス

✅施術時間が比較的短い

✅レーザーの照射漏れが発生する可能性がある

✅1回の照射では満足できる結果を得られない人もいる

2パス

✅レーザーの照射漏れの可能性が低い

✅1パスより汗腺を破壊できる

✅ダウンタイムが1パスよりも長くかかる可能性がある

✅合併症のリスクが高くなる(皮膚の壊死や神経障害等)

当院では、治療効果の高い2パス照射(ダブル照射)を原則としております。

広範囲ダブル照射

当院では、1回のミラドライ治療において、「最大出力での広範囲施術および2パス照射」方法を主に採用しています。これにより、通常よりも広い範囲をカバーし、さらに2パス照射することで、汗腺を確実に破壊いたします。

毎日のお手入れがラクに

ミラドライを使うと、外用薬や制汗剤、制汗スプレーをほとんど使わなくても良くなりますので、毎日のお手入れが格段にラクになります。またこれらのものを持ち歩く必要もなくなりますので、生活がとてもラクになります。

お子様も安心して受けていただけます

ミラドライは、皮膚を切開しないため、お子様にとっては手術に比べて精神的、身体的な負担が軽減されます。さらに、ダウンタイムが短く、日常生活にすぐ戻れるため、安心して受けていただけます。激しい運動などは一時的に制限があります。お子様にとっても親御さんにとってもストレスが少なく、生活への復帰がスムーズです。

成長と汗腺の変化

3歳までに体温調節を担う汗腺の発達が決定されるとされています。また、12歳から18歳頃にかけては汗腺が成長する時期で、わきがの原因となるアポクリン汗腺もこの頃に発達します。

ミラドライのリスク

ミラドライの治療では起こるリスクは低いですが、それでも以下に示すような副作用が起こる可能性があります。多くの場合は、出現は一時的で、経過を見ていけば、問題なくなることがほとんどです。当院の治療で、長期的な合併症が出た方は、今の所おりません。

発赤、圧痛、腫脹、熱感、内出血、浮腫み、しこり、しびれ、感覚異常、水疱、突っ張り感、感染、やけど、色素沈着など

ミラドライの安全性

ミラドライは日米両方の医療機器の承認機関である、厚生労働省、FDA、共に承認を得ている唯一のワキ汗の治療機器であり、安全性に関しては、非常に信頼性が高い機器と言えます。

ミラドライ専門クリニックや美容外科で施術を受けるのは要注意

ミラドライは、侵襲のある治療ですので、注意して施術を行わないと皮膚壊死や皮膚感染症といった合併症が起こり得ます。一部のクリニックでは、施術時、1箇所に集中して当てすぎるということが起きているようです。その結果、当て過ぎた部位の皮膚壊死や皮膚感染症が起こりえます。一度合併症が起こると、治癒までに時間が長くかかるのと、創部に瘢痕や拘縮を残すことがあります。当院にも、他院でのミラドライ施術後、合併症で来院される方が来られます。そういった合併症が起こった際に、頼れるドクターの下で施術を受けることが、リスクを最小限を抑えるためにも、重要になります。価格や宣伝文句に騙されないように、ご注意ください。当院は、皮膚科・美容皮膚科・形成外科を標榜し、創傷治癒の知見が豊富ながドクターが担当いたしますので、何かトラブルがあった際も万全の対応ができます。

副次効果

ミラドライは副次効果として、ワキ毛が抜けるというものが挙げられます。汗腺と毛根が近いため、全脱毛にはなりませんが、部分的な脱毛効果も得られます。ワキの脱毛を考えられている方は、先にミラドライを照射することが、効果の面ではおすすめと言えます。

当院で受けるミラドライ治療の特徴

1. ミラドライの経験豊富、多汗症・腋臭症の経験豊富な形成外科専門医による治療

多汗症・腋臭症の治療経験豊富な形成外科専門医が中心になって治療を行います。皮膚の状態、汗腺の状態に応じた治療計画をその都度練っていくことで、合併症が起こりにくく、治療効果がより高まります。

2. 当院独自の照射方法で行うことで、最大限の効果と、最小限の副作用を実現

当院独自の当て方で、ミラドライを照射していきます。広範囲・ダブル照射を原則としていますので、高い効果が期待できます。さらには、汗腺の多い箇所は方向を変えて複数パス行うことでよりしっかりと汗腺が破壊されます。また、照射が集中すると皮膚壊死などのトラブルが起きやすくなるものですが、皮膚のダメージや血流を医師が適宜チェックすることで、皮膚壊死などの副作用が起きないように配慮しております。

3. より痛みの少ない麻酔法の追求

当院独自の痛みの少なくなる麻酔法を実施しており、麻酔薬の配合や、前処置の徹底などで、痛みの少ない麻酔法を実現しています。

4. 手厚いフォローアップ

毎日診療している、皮膚科・美容皮膚科・形成外科のクリニックのため、何かトラブルがあった際も、すぐに診察可能です。

よくあるご質問

仕事にはいつ頃戻れますか?

治療後、オフィスワークなどにはすぐに戻ることができますが、2〜3日間は以下の点に注意してください。

  1. 激しい運動や飲酒を控える: 治療部位に負担をかけないよう、激しい運動や飲酒は避けてください。
  2. シャワーと入浴に注意: シャワーは治療当日から可能ですが、入浴は翌日からとしてください。治療部位を強く擦らないように気をつけてください。
  3. 冷却パックの使用: 痛みや腫れを和らげるために、数日間は冷却パック(治療後にお渡しをしています)を使ってワキを冷やす必要があります。これにより、治療後の創部の治癒が促進されます。
ワキのレーザー脱毛を受けているのですが、施術は受けられますか?

ミラドライの施術前後1か月は、脇のレーザー脱毛を避けていただくようお願いしています。施術後1か月が経過した場合(合併症がなければ)、レーザー脱毛を行っていただいても問題ありません。

さらに、ミラドライ自体が脇毛の減毛効果を持っております(個人差があるものの、約70%程度)。そのため、医療脱毛をご検討されている方は、まずミラドライの減毛効果を3か月などの期間で確認された後、脱毛をご検討いただいても問題ありません。

ワキガは遺伝しますか?

ワキガには遺伝傾向が見られ、お母様またはお父様がワキガである場合、お子様にもワキガが遺伝している可能性はございます。

ミラドライで再発することはありますか?

ミラドライのマイクロ波は、ワキの汗腺を焼灼・凝固させるため、基本的に汗腺の機能が回復することはありません。ただ、以下のような理由で、再発を感じることがあります。

①成長に伴い、ワキ汗・ワキガの症状が復活。未成年のうちに施術を受けた場合は、身体の成長に伴って治療後に新しい汗腺が作られる可能性があります。

②ミラドライによって完全に破壊できなかった汗腺が、ダメージから回復し再活動することで、再発。施術直後は、すべての汗腺がダメージを受けて一時的に発汗が停止します。しかし、時間が経つにつれて、一部の汗腺は完全壊死に至らず、徐々に回復し、発汗機能が再び現れます。

当院では、このようなことが起こらないように、広範囲・ダブル照射を徹底して、汗腺の回復がないように注意をして治療を行っています。

ミラドライの施術を受けられない方はいますか?

当院では、以下に該当する方は施術をお断りする場合がありますので予めご了承ください。

  • 局所麻酔薬にアレルギーがある方
  • 感染症をお持ちの方
  • わきに傷や炎症、腫瘍(良性含む)がある方
  • ペースメーカー等の電子機器を埋め込んでいる方
  • 妊娠、授乳中(授乳中の場合、3日間ほど断乳可能の場合は施術可能です)
  • 過去に乳がんの手術を受けて、リンパ節郭清をされたことがある方

すそわきが、ちちが

当院では、すそわきが、ちちがの治療も行っております。ミラドライでの治療なら施術当日からシャワーが可能で、ダウンタイムも短く、優れた治療法といえます。詳しくはお問い合わせください。

治療責任者

全ての患者様に対して、日本形成外科学会専門医・指導医である院長の田代絢亮が責任を持って、診療・治療に当たらせていただきます。脇汗治療のスペシャリストですので、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。現在、ミラドライは脇汗・腋臭症治療でファーストチョイスの選択肢となってきており、効果も高く、多くの患者様に受けていただいている人気の施術になります。当院は日々、効果を比較検証し、より良い治療法の開発に努めています。日曜祝日含め毎日診療しておりますので、急なトラブルにもすぐに最善の対応をすることができますので、安心して施術を受けていただけます。

料金

下記、価格表をご参照ください。

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